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絵本の世界へ

最終更新日 2024年02月29日

展示期間 : 01月から02月

展示場所 : 本館一般展示


絵本の世界への展示ポスター
絵本についてどのようなイメージをもっていますか?
主に子ども向けに書かれた絵を主体とした本ですが、決して読むべき年齢が決まっているものではありません。長く読み継がれている絵本は、時に、心の持ち方や生き方など人生を送る上で大切なことを教えてくれます。子ども時代に親しんだ絵本を大人になって読み返すと、また違った印象を持つことも少なくありません。
今回は、絵本の世界へといざなってくれる本を中心に、読み聞かせに関する本や絵本学に関する本、また、成田市文化芸術センター なごみの米屋 スカイタウンギャラリーにて開催される『いわむらかずお展』にちなみ、いわむらかずお氏の絵本等を紹介します。この機会に奥深い絵本の世界をのぞいてみませんか?

展示関連情報

大人こそ絵本を 絵本のガイドブック

『子どもも大人も絵本で育つ』

湯澤美紀/著 柏書房 2019年
大人も子どもも楽しめる絵本がたっぷりのブックガイドです。「ハッピーエンドはやる気の源」「自分を越えた長い時間」「ぼくに気づいて」など、思わず読み比べたくなるユニークなテーマ別に紹介されています。

『どんな絵本を読んできた?』

「この絵本が好き!」編集部/編 こうの史代/イラスト 平凡社 2017年
角野栄子や梨木香歩、ヤマザキマリら57人の作家やクリエイターが、自身のとっておきの絵本を紹介します。ブックガイドとして活用できるのはもちろんのこと、絵本について語られる57のエピソードを愉しむ読みものとしてもおすすめです。

『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』

さわださちこ/編著 講談社 2010年
かわいい猫たちが活躍する絵本が多数紹介されています。お医者さんや消防士として奮闘したり、船に乗ったり、ほうきでお掃除したり…。どのページを開いても、猫、ねこ、ネコ!まさにタイトルの通り『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』です。

絵本を学問する

『絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか 空間の絵本学』

矢野智司・佐々木美砂/著 勁草書房 2023年
動物たちが長い行列をつくって行進している絵本をみたことはありませんか?一見ありふれたこの絵本の構図を読み解くところから、絵本世界がもたらす「絵本の力」の謎に迫ります。さらにこのような絵本に惹きつけられる「人間とは何か」についても考察しています。今まで読んだ絵本の見方も変わるかもしれません。

『行きて帰りし物語 キーワードで解く絵本・児童文学』

斎藤次郎/著 日本エディタースクール出版部 2006年
かいじゅうたちの世界へ迷い込む「かいじゅうたちのいるところ」、おつかいに挑戦する「はじめてのおつかい」、鬼ヶ島へ鬼退治に出かける「ももたろう」。誰もが一度は読んだことのあるこれらの物語はすべて、どこかへ<行って帰る>お話です。<行って帰って>何が変わったのか?<行って帰る>物語が人々の心を掴む秘密を読み解きます。

『絵を読み解く絵本入門』

藤本朝巳・生田美秋/編著 ミネルヴァ書房 2018年
本書では、「絵」にフォーカスして絵本を考察しています。「ごんぎつね」のごんは、物語中では擬人化されているけれど、絵ではあくまでも自然のなかにいる狐と同じ立ち振る舞いをしている?「ねずみくんのチョッキ」で、ねずみくんの表情を大きく描いたイラストが登場しないのはなぜ?新たな視点から絵本の「絵」を読み解いてみませんか?

絵本との出会い

『女性受刑者とわが子をつなぐ絵本の読みあい』

中島学/著 村中李衣/編著 かもがわ出版 2021年
山口県のある刑務所で実践されている「絆プログラム」についての記録です。このプログラムは、離れて暮らすわが子を想定して絵本を選び、グループ内で何度も読みあい、最終的には録音したCDをその絵本とともにわが子に送り届けるものです。絵本の「読み聞かせ」ではなく「読みあい」という表現に込められた著者の想いが光る一冊です。

『ちょっと不思議な絵本の時間おとなが読みあい語りあう』

Re~らぶ(高次脳機能障がい者を支援する会)/編 かもがわ出版 2015年
札幌市にある高次脳機能障がい者を支援する会・NPO法人Re~らぶでは、絵本を読み合い、感じたことを自由に語り合う「絵本の時間」という活動が行われています。ルールは「相手の話を否定しないこと」たったひとつだけ。参加者たちの語りが会話形式で掲載されており、実際に活動に参加している気分で読み進めることができます。絵本の持つ力の偉大さを改めて感じるエピソードが満載です。

『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』

ブックスタート/編著 岩波書店 2010年
乳児健診等の会場で赤ちゃんに絵本を手渡す取り組みである「ブックスタート」。イギリス発祥のこの取り組みは、日本では2001(平成13)年に始まりました。本書では、日本におけるブックスタートの10年間の歩みが多くの事例とともに記録されています。

『本・子ども・絵本』

中川李枝子/著 大和書房 2013年
『ぐりとぐら』の作者が、自身や自身の子どもについて、また保育園勤務時代の体験等、絵本に関する様々なエピソードを綴っています。幼い頃に絵本と出会うことはかけがえのない体験となるということを、本書を通して感じることができます。挿絵を手掛けたのは、『ぐりとぐら』の絵を担当した山脇百合子さんです。

絵本を通じて世界へ

『絵本で世界を学ぼう!』

吉井潤・柏原寛一/著 青弓社 2020年
105か国の基本情報とともに、その国に関連する絵本が紹介されています。マンゴーとバナナをめぐるインドネシアのお話、ナイジェリアのパン屋さんの一日を描いた絵本、はりねずみが主人公のカザフスタンの絵本…。海外渡航が難しかった2020(令和2)年に刊行された本書だからこそ、絵本を通じて広い世界を感じることができます。

『イギリス絵本留学滞在記 現代絵本の源流ウォルター・クレインに魅せられて』

正置友子/著 風間書房 2017年
「絵本は、この世に生れてきた子どもたちが最初に出会い、(中略)生きることの大切な意味を考え、分かち合い、伝え合うことができる、人の手が作りだした芸術であり、文化財です」— 3人の子どもたちが成人し義父を看取ったことを機に、54歳で単身留学を決めた著者。「絵本の歴史を知りたい」との想い一つでイギリスへ飛んだ彼女の、溢れんばかりの絵本愛に満ちた一冊です。留学中の体調不良や食事についてなどリアルなエピソードもともに綴られており、留学奮闘記としてもおすすめです。

『絵本で学ぶSDGs 地球の未来を考える』

絵本でSDGs推進協会/編 中川/素子/編集協力 平凡社 2022年
最近よく耳にするSDGs。国連で採択された17の目標を分かりやすく学べる絵本が紹介されています。唐揚げを通して食の多様性を学んでみたり、ばんそうこうの誕生秘話から技術革新の基盤について考えてみたり…。SDGsをより身近に感じることができます。

大人にもおすすめの絵本

『大ピンチずかん』

鈴木のりたけ/作 小学館 2022年
牛乳がこぼれた、トイレの紙がない、子どもにとっての大ピンチ!大人も「あるある」と共有するのが楽しい絵本です。

『かみはこんなにくちゃくちゃだけど』

ヨシタケシンスケ/著 白泉社 2022年
繰り返されるそれぞれのいいことと、悪いこと。まいにちあわただしくすごしているけど、こんなすてきなほんをみつけたの。

『くみたて』

田中達也/作 福音館書店 2022年
オレンジのミニチュア作業員たちが組み立て→見立てると日用品が別のものに大変身!

『戦争をやめた人たち 1914年のクリスマス休戦』

鈴木まもる/文・絵 あすなろ書房 2022年
信じる宗教や考え方がどんなにちがっても、ふるさとの自然や家族、子どもを大切に思う気もちは同じです。第一次世界大戦の最前線で起こった実話です。

いわむらかずおさんの本

成田市文化芸術センターなごみの米屋スカイタウンギャラリーで開催される「いわむらかずお絵本原画展」に寄せて、図書館でもいわむらかずおさんに関する本を集めてみました。絵本はもちろんのこと、児童向けよみものやエッセイ、インタビュー掲載記事まで、どれもほんわか優しい気持ちにさせてくれるものばかりです。原画展と併せて、いわむらかずおさんの創り出す世界をお楽しみください。

『14ひきのひっこし』

いわむらかずお/作 童心社 1983年
言わずと知れたいわむらかずおさんの代表作「14ひきのシリーズ」第一弾です。ネズミのぬいぐるみをおんぶして遊ぶ子がいたり、おばあちゃんの優しい視線の先で末っ子が跳びはねていたり、じっくり読めば読むほど楽しいこのシリーズ。実は科学絵本でもあり、北関東の季節ごとの自然図鑑としての役割も果たしている自然とともに生きることへの大切さを伝える絵本です。大人になった今だからこそ、もう一度読み返してみませんか? さらに、おなじみの日本語版に加えて、英語版と韓国語版もご用意しています。日本語版と並べて楽しく語学学習するもよし。敢えて外国語版で「絵を読み解き」ながら、意味を想像するもよし。オリジナルの楽しみ方を見つけてみてください。

『えほんの丘スケッチブック』

いわむらかずお/絵・文 講談社 2007年
栃木県那須郡にある「えほんの丘」。いわむらさんはこの丘で暮らしながら、絵本を描き続けています。リス用の巣箱に入り込むムササビ、庭に迷い込んだ野ウサギのあかちゃん、夏の夜に聞こえるフクロウの声…。四季折々の自然を切り取ったエッセイ集です。淡い色合いで描かれたイラストにも癒されます。

『トガリ山のぼうけん』(全8巻)

いわむらかずお/著 理論社
トガリネズミのトガリィじいさんが、若き日の冒険談を孫たちに語る物語です。 「一人前」と認められるべくトガリ山へと出発したトガリィは、道中で出会ったテントウムシのテントとともに、トガリ山のてっぺん目指して突き進みます。体長5センチのトガリィとさらに小さなテント。リュックには非常食の干しミミズを携えて、小さな2匹が大冒険へと繰り出します。いわむらさんが日本各地の野山を取材し10年以上かけて書き上げた長編物語シリーズです。

『風といっしょに』

いわむらかずお/著 理論社 2002年
1991(平成3)年の毎日新聞の連載をまとめたエッセイ集は、「カマキリ牧場」「落ち葉さらい」など、タイトルだけでも興味を惹かれるものばかりです。人気シリーズ「トガリ山のぼうけん」で主人公にトガリネズミを選んだ経緯や、主人公の相棒・テントのモデルとなったテントウムシとの出会いについてなど、いわむらかずお作品の裏側が垣間見える一冊です。