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翻訳詩をよむ

最終更新日 2023年04月01日

展示期間 : 02月から03月

展示場所 : 本館一般展示


翻訳詩をよむの展示ポスター
外国の言葉で書かれた文章を日本語に直して伝える「翻訳」。 中でも「詩」は、外国の言葉で韻を踏んでいたり、定型が決まっていたりすることが多く、翻訳が難しいとされています。単語の意味を正確に訳すだけではなく、作者が表現したかったものを、汲み取って日本語にしなければなりません。そのため、訳者によって大きく雰囲気が変わり、別の作品のようになってしまうこともあります。 日本では、明治以降、西條八十や堀口大學、上田敏といった有名な文学者たちが訳詩集を出版してきました。 今回の展示では、英雄の活躍する叙事詩から身近な恋愛詩、有名な童謡まで、世界のさまざまな国の詩と詩の翻訳に関する本をご紹介します。「そのフレーズ知っている!」という詩がきっと見つかることでしょう。原文との対比や挿絵を楽しみながら、詩の翻訳の奥深さに触れてみませんか。

展示関連情報

心に残る詩

『わたしたちの登る丘』

アマンダ・ゴーマン/著 鴻巣友季子/訳 文藝春秋 2022年
わずか21歳の詩人がバイデン大統領就任式で朗読し、全世界に感動を与えた詩は、分断を乗り越え、団結することを呼びかけ、その力強い言葉で困難に立ち向かう多くの人の背中を押したことで話題になりました。日本語訳と訳者による詳細な解説、英文原詩を収録しています。

『W・B・イェイツ全詩集』

W・B・イェイツ/著 鈴木弘/訳 北星堂書店 1982年
著者のウィリアム・バトラー・イェイツは、アイルランドの詩人・劇作家です。民族演劇運動を通じてアイルランド文芸復興の担い手となり、1923(大正12)年にはノーベル文学賞を受賞しました。巻末に固有名詞索引が掲載されています。

『今日は死ぬのにもってこいの日』

ナンシー・ウッド/著 金関寿夫/訳 めるくまーる 1995年
ネイティブ・アメリカンの人生哲学が味わえる詩画集のロングセラー作品です。プエブロ族の古老たちから聞き出した伝承を叙事詩の形で書き綴った詩集で、深く美しい言葉が静かに語りかけてくる、私達の心の糧になるような1冊です。英語の原文も掲載されています。

『ヴェルレーヌ詩集』(海外詩文庫シリーズ)

格調高い堀口大学らの名訳から編者による新訳まで網羅しており、代表的な詩人論も収録しています。海外詩文庫シリーズ全17冊のうちの1冊です。

世界各国の言葉で見る詩

『マザーグース・コレクション100』

藤野紀男/著 夏目康子/著 ミネルヴァ書房 2004年
古くから親しまれてきた童謡であるマザーグースから100個を選び、「動物・鳥の唄」「お菓子・食べ物の唄」といった項目に分類して紹介しています。原文・訳文の他、当時の挿絵も解説されていて、さまざまな角度から楽しめます。

『ビートルズ全詩集』

ビートルズ/著 内田久美子/訳 ソニー・ミュージックパブリッシング 2000年
20世紀を代表する音楽グループとも呼ばれるビートルズのオリジナル楽曲全183編を、アルバム発表順に対訳で紹介しています。誰もが一度は耳にしたことがあるだろう曲の歌詞を、じっくり味わってみてはいかがでしょう。

『聞いて楽しむ漢詩100選』

石川忠久/編 NHK出版 2011年
さまざまな時代の漢詩を目でも耳でも楽しめるCD付の本です。原文には発音記号もついていて、自分で朗読する際にも便利です。

『王書(シャー・ナーメ)』

フィルドゥスィー/著 黒柳恒男/訳 平凡社 2004年
ペルシアの英雄物語を約6万語の韻文で綴った叙事詩の抄本です。日本における『平家物語』を弾き語る琵琶法師のような朗読者がいて、王侯や民衆に語り聞かせたといいます。現在でもイランの軍歌の多くは、この作品の詩句からできているそうです。

『古代エジプト 愛の歌』

土居泰子/編訳 弥呂久 2005年
遺跡から発見されたパピルスや陶片に記されていた恋愛がテーマの詩が紹介されています。古代エジプトで使用されていた文字の一種であるヒエログリフを併記(ただし語順は反転)し、壁画の写真なども多数掲載されており、眺めるだけでも異国情緒に浸ることができます。

『アイヌ神謡集』

知里幸惠/編訳 岩波書店 2009年
19歳の少女がアイヌ語の口伝の神謡(カムイユーカラ)の響きをローマ字にして、日本語訳をつけた有名な本です。国語の教科書で読んだことがある人もいるかもしれません。狐や兔が語り手として、自然や人間を豊かに歌い上げます。

詩を翻訳するということ

『名詩名訳ものがたり』

亀井俊介/著 沓掛良彦/著 岩波書店 2005年
中国の詩にある「人生足別離」が井伏鱒二の手にかかると「サヨナラダケガ人生ダ」になるなど、独自性の高い翻訳によって、より知られるようになったフレーズはたくさんあります。日本の近代詩は翻訳詩によって始まり発展したとする著者が、明治から平成までの翻訳詩30編を取り上げて、その魅力を探ります。

『翻訳教室』

柴田元幸/著 新書館 2006年
東京大学で行われた名物講義と言われている「翻訳演習」の授業内容をまとめた本です。学生と講師の討論、解説、そして演習を通して、ただ単語を日本語にするだけではない翻訳の楽しさや難しさを感じることができます。特別講座では村上春樹が詩の翻訳についても話をしています。

『ランボオ詩集』

ランボオ/著 中原中也/訳 2013年
日本の詩人に大きな影響を与えたランボオ。詩人としての嗅覚を頼りにランボオの詩を読み解き、無手勝流に訳した中原中也の訳詩を収録しています。ランボオと中原中也、二人の詩人の個性がぶつかり合って生まれた訳詩集です。

『葡萄酒の色 訳詩集』

吉田健一/訳 岩波書店 2013年
ベレイ、シェイクスピア、キイツ、ラフォルグ、イェイツ、ヴァレリイ、エリオットなど、英仏の詩篇を収録しています。評論家・作家・翻訳家として旺盛な文筆活動をおこなった吉田健一が独自の審美眼で選んだ英仏の詩を、個性的な文体で訳した詩選集です。

『海潮音』

上田敏/訳 新潮社 2006年
上田敏は東京帝国大学で講師のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)からも語学の才を認められ、その後任として教鞭をとった文学博士です。それまでは英語訳からの重訳が主流だったヨーロッパの近代詩を原文から訳したのがこの作品で、その美しい語感は今も心に響きます。

『白孔雀』

西條八十/訳 岩波書店 2013年
西條八十は明治から昭和にかけて活躍し、「青い山脈」などの流行歌や童謡の作詞家として有名です。28歳の時に「訳詩は語学者の仕事ではなく、詩人の仕事だ」として手掛けた同名の翻訳詩集に、その後の作品の中から選りすぐったものを加えています。