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松竹映画100周年

最終更新日 2020年07月31日

展示期間 : 06月から07月

展示場所 : 本館一般展示


展示ポスター
2020(令和2)年は「松竹映画」が誕生して100周年を迎える記念の年です。1920(大正2)年2月11日、創業者である白井松次郎と大谷竹次郎の双子の兄弟により、「松竹キネマ合名会社」が設立されました。同年、蒲田撮影所開所により映画製作活動が開始され、今日の「松竹株式会社」に至っています。
現在は、映画・演劇の制作、歌舞伎の興行等を中心に事業をおこなっていますが、かつては文楽(人形浄瑠璃)や歌劇、相撲興行やプロ野球、ボウリング、アイススケートリンクの運営事業等もおこなっていました。映画作りにおいては、日本初のトーキー映画やカラー映画製作を手がける等の発展を続け、今日に至るまで日本映画史を飾る数々の名作や話題作を生み出しています。
今回の展示では、人々の心に残る映画作品に関する本や、「松竹映画」を彩ってきた監督や名優たちに関する本を紹介します。

展示関連情報

松竹映画の歴史について書かれた本を紹介します

『松竹映画の栄光と崩壊』

升本喜年/著 平凡社 1988年
大正から昭和の時代に日活と松竹が勢力を二分した歴史等、大船映画の誕生について知ることができます。巻末には大船時代の年表があり、当時起こった事件や出来事とともに、上映された映画が掲載されています。

『松竹と東宝』

中川右介/著 光文社 2018年
劇場の売店の子として育った双子の兄弟「松竹」の創業者と、裕福な商家に生まれ慶應義塾大学卒業の「宝塚」生みの親。この対照的な両者が、今日の繁栄に至るまでの数十年間、看板役者や大劇場をめぐりしのぎを削った歴史が描かれています。

『日本映画史』

佐藤忠男/著 岩波書店 2006年
著者独自の民衆思想史と、大衆文化論に基づいて描かれた日本映画通史の決定版です。シリーズ1巻は1896(明治29)年から1940(昭和15)年分を収録しています。毎日出版文化賞、芸術選奨文部大臣賞やスポニチ文化芸術大賞を受賞し、韓国語やフランス語にも翻訳されています。

『昭和映画世相史』

児玉数夫/共著 社会思想社 1982年
1927(昭和2)年から1981(昭和56)年までの映画作品について、それぞれの時代に起こった出来事を振り返りながら作品を紹介しています。また、巻末には日本映画の海外映画祭での主な受賞記録を表形式で見ることができます。

『映画百年映画はこうしてはじまった』

読売新聞文化部/編 キネマ旬報社 1997年

松竹映画の監督や名優たちについて書かれた本を紹介します

『小津安二郎映画読本 東京そして家族』

松竹株式会社映像版権室/編集 フィルムアート社 2003年
1927(昭和2)年から1962(昭和38)年までの監督生活の間に、「東京」という空間とそこに生起する「家族」を主題とした映画を遺した小津安二郎。生誕100年を記念し現存作品の紹介を中心に、小津世界を特集しています。

『昭和の銀幕スター100列伝』

新井恵美子/著 展望社 2017年
昭和を彩った銀幕のスターをアイウエオ順に紹介しています。松竹のスターだけではなく、現在もご存命の方からお亡くなりになった方まで懐かしい顔ぶれが登場しています。アイドルではない、綺羅星のスターの時代を是非感じてください。

『キモノのしたく片づけ 着る前着た後』

笹島寿美/著 神無書房 2003年
着物生活の上級者になれる工夫とコツがいっぱいです。松竹映画では、衣裳担当として舞台衣装の着付けに携わる笹島寿美さん。歌舞伎や日本舞踊レビュー等の着付けも手掛け、紐1本で着る着付けや、帯を主役にした帯人形を考案し話題となりました。着物の準備と着た後の片づけをやさしく紹介しています。

『サヨナラだけが人生だ 映画監督川島雄三の一生』

今村昌平/編 ノーベル書房 1976年

『講座日本映画』

今村昌平 ほか/編集 岩波書店 1985年

松竹映画作品に関する本や映画の原作本等を紹介します

『楢山節考』

深沢七郎/著 新潮社 2010年
深沢七郎が1956(昭和31)年に発表した短編小説です。この作品で第1回中央公論新人賞を受賞しました。物語は、70歳になったら楢山へ行くという姥捨て(棄老伝説)をもとに描かれています。もうすぐ70歳になるおりんは、山へ行く支度をしていました。孝行息子の辰平は、その因習に戸惑いながらも背板に乗せ冬山へおりんを連れていきます。貧しい村人が生きるために選ばざるを得なかったなんともやるせなく辛い物語です。この作品は、2回映画化され、松竹では、1958(昭和33)年田中絹代主演で映画化されています。

『蒲田行進曲』

つかこうへい/著 KADOKAWA 2018年
有名な舞台演劇を小説にした作品で第86回直木賞を受賞しました。野心家で初主演を射止めた銀ちゃんと大部屋のヤス、かつてはスター女優だった小夏の三角関係を描いています。本作はヤスのはなしと小夏のはなしからなり、ヤスから小夏に引き継いで物語が成り立っています。有名な階段落ちにはモデルがいて、つか氏はこの逸話を知り、執筆したとも言われています。映画は、1982(昭和57)年に製作されました。

『砂の器 上・下』

松本清張/著 新潮社 2006年
1960(昭和35)年5月から1961(昭和36)年4月までほぼ一年間読売新聞の夕刊に掲載された作品です。松本清張の作品の中でも有名な作品の1つです。東京・蒲田駅の操車場で起きた殺人事件を、被害者の東北訛りと「カメダ」を手掛かりに老刑事が追います。ハンセン病を背景に犯人の過去と心情・宿命が描かれています。何度も映像化されている作品ですが、松竹映画は1974(昭和49)年野村芳太郎監督、丹波哲郎・森田健作・加藤剛が出演し、高く評価された作品で、数々の賞を受賞しています。

『伊豆の踊子』

川端康成/著 新潮社 1986年
川端康成の初期の短編小説で伊豆へ旅した実体験を基にしています。伊豆に一人旅にでた青年が旅芸人一座と巡り合い、踊子の少女と交流を深めていきます。少女との出会いによって青年のこころに変化が表れていきます。映像化は何度もされ、松竹映画では、田中絹代・美空ひばり・鰐淵晴子が主演しています。

『人間の條件 上・中・下』

五味川純平/著 岩波書店 2005年
戦争に反対であった主人公梶が過酷な状況に置かれ、結果的に戦争に参加し、加害者になっていくということが、描かれています。著者自身が体験した経験を基にこの作品も書かれ、また、数多くの戦争文学を描いています。この作品は、1959(昭和34)年から1961(昭和36)年にかけ、仲代達矢主演で3部作映像化されています。