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だれにでも読書のたのしみを

最終更新日 2020年02月28日

展示期間 : 03月から04月

展示場所 : 本館一般展示


展示ポスター
2019(令和元)年6月、視覚障がい者や発達障がい者、寝たきりや上肢障がいのため本が読みづらい人の読書環境を改善するための法律「読書バリアフリー法」が成立しました。
通常の読書が困難な人、それは身体的な障がいに限らず、ディスレクシア(識字障がい)を持つ人や、小さな文字が読みづらくなってきた人、外国に母語を持つ人なども含まれます。
今回の展示では、障がいのあるなしに関わらず、だれでも楽しめるようにつくられた本と、それに関連する本を紹介します。大きな文字で読みやすい大活字本、やさしい言葉や絵、写真で構成されたLLブック、朗読CD付きの本や録音図書、点字で書かれた本など、図書館にはさまざまな形態の本を用意しています。ぜひお手にとってご覧ください。
<対面朗読室のご案内>
本館1階にある対面朗読室には、大活字本のほか、点字資料、さわる絵本などの資料を用意しています。また、拡大読書器や音声再生機よむべえなどの機器も用意しています。ご希望の方はお気軽に職員にお声掛けください。

展示関連情報

さわって読む

図書館では、視覚障がい者のために点字で書かれた本を所蔵しています。点字以外にも、隆起した印刷や毛皮などの素材を使った、触って楽しむ絵本もあります。触る絵本と点字に関する本を紹介します。

『これ、なあに?』

バージニア・A.イエンセン/著 偕成社 2007年
デンマークで出版された、目の見えない子と見える子がどちらも楽しめる画期的な絵本です。特殊な印刷で隆起した模様を触ってお話を楽しみます。まっすぐな道をずっと指でたどっていくと、ザラザラくんやバラバラくん、ポツポツちゃんなどいろいろな模様が登場します。

『さわってあそぶ コロちゃんののうじょう』

エリック・ヒル/著 評論社 2005年
犬のコロちゃんと一緒に、農場にいる動物たちと出会う絵本。ところどころに様々な素材を使っていて、動物たちのふわふわの毛並みや草木の手触りを楽しめます。

『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』

金治直美/著 佼成出版社 2019年
日本で初めて本格的な点字図書館である日本点字図書館を設立した本間一夫についての本。5歳で視力を失った自身の「もっと本が読みたい」という強い思いが、図書館設立への道へとつながっていきます。

『ここからはじめる点字・点訳のきほん』

道村静江/著 ナツメ社 2014年

聴いて読む

声優や俳優による朗読を耳で聴いて読む、オーディオブックを体験したことはありますか?目で字を追ったり手でページを繰ったりしなくても読書が楽しめるツールで、移動中や就寝前などに利用する人もいるようです。図書館では、朗読CDやテープ、それらの媒体が付属した図書なども所蔵しています。また、図書をそのままの状態では読めない、あるいは読みにくい方のために、録音図書(カセット、DAISY)の作成と貸出も行っています。ご希望の方は、職員にご相談ください。

『朗読の時間太宰治』(CD付属図書)

太宰治/著 東京書籍 2011年
「朗読CD付き名作文学シリーズ」の1つです。宮沢賢治、中原中也、聖書のことばと合わせて全4冊あります。

『声に出して味わう日本の名短歌100選』(CD付属図書)

佐佐木幸綱/監修 中経出版 2004年

『シャーロック・ホームズ』(朗読CD、全10巻)

コナン・ドイル/著 新潮社 1998年

『たそがれ清兵衛』(朗読CD)

藤沢周平/著 新潮社 2004年

やさしく読む

LLブック

LLブックのLLとは、スウェーデン語の「レットレースト」を簡単に表した言葉で、「やさしく読める」という意味です。LLブックは、知的障がいのある人や自閉症の人、外国に母語をもつ人など、読むことが苦手な人のために読みやすいように作られています。わかりやすい文章、絵記号(ピクトグラム)、イラスト、写真などを使って作られています。

『旅行にいこう!』

藤澤和子/著 樹村房 2019年
1泊2日の家族旅行のお話。白黒写真とピクトグラムでストーリーが進んでいきます。顔はめパネルで写真を撮ったり、食べ歩きをしたりと、写真の人々がとてもいきいきとした表情をしていて、旅行のワクワク感が伝わってきます。

『仕事にいってきます』(全5巻)

埼玉福祉会出版部
いろいろな仕事を通して働く楽しさを伝えるLLブックのシリーズです。実際に働く、障がいのある人の一日を紹介しています。ページごとにカラー写真とピクトグラムがついています。一日の仕事を順を追って丁寧にみていくことで、仕事の大切さに気づかされます。

『いっぽんのせんとマヌエル』

マリア・ホセ・フェラーダ/文 偕成社 2017年
この絵本は、線が大好きな自閉症の男の子、マヌエル君と著者が出会ったことで生まれた絵本です。生活の中で、いつも線を探しているマヌエル君。マヌエル君の感じる世界を一本の線とピクトグラムで表現しています。

大活字本

大活字本とは、大きい文字(14から22ポイント)を使った本のことです。普通の本は文字が小さくて読みづらい、そんな人は大活字本を手に取ってみてはいかがでしょうか。大活字本は、本館1階対面朗読室、公津の杜分館に所蔵があります。
大活字本所蔵一覧(出版社別)

大きな文字の青い鳥文庫 所蔵一覧

子ども達に人気の青い鳥文庫(講談社)。大きな文字で読みやすい大活字版も出版されています。

多様な見え方を知る

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

伊藤亜紗/著 光文社 2015年
視覚に障がいを持つ人は、この世界をどう感じているのでしょうか。そんな疑問に答えてくれる本です。視覚障がい者やその関係者へのインタビューのほか、著者も一緒に参加したワークショップや、日々のおしゃべりを通して、「世界の別の顔」の姿をまとめています。目の見える人と見えない人の見え方について違いを表したイラストもあり、こんな世界の捉え方があるんだと発見がたくさんある一冊です。

『世界でただひとつの読書』

三宮麻由子/著 集英社 2018年
4歳で視力を失った著者の読書体験を綴った本。『坊ちゃん』や『アラビアンナイト』など世界の名作17冊を豊かな感性で読み解き、考察していきます。文字を目で追って読んでいるだけでは気づかなかった新しい読み方で読者を楽しませてくれます。

『ディスレクシアでも活躍できる 読み書きが困難な人の働き方ガイド』

藤堂栄子/編著 ぶどう社 2016年
ディスレクシアとは、文字を音や意味と結びつけることが困難な状態、またはそのような特性を持つ人を言います。この本では、ディスレクシアを抱える4人の経験を通して、読み書きが苦手でも社会で活躍するための考え方や具体的な工夫が紹介されています。

『暗号のポラリス』

中山智幸/著 NHK出版 2015年
難読症の小学生が、人や電子機器との出会い、ひと夏の冒険を経て自分を見つめ成長していく物語。彼をとりまく家族や教師とのエピソードからは、問題のとらえ方や対峙の仕方の多様さについて考えさせられます。