日本の子どもたちに読み継がれて50年以上になる「うさこちゃん」。このうさこちゃんは、絵本作家ディック・ブルーナにより60年前にオランダで生まれました。オランダ語で、ふわふわのうさちゃんを意味する「ナインチェ・プラウス」が、オリジナルの名前です。ほかに、英語名の「ミッフィー」の名前も持つうさこちゃんは、世界中で最もよく知られた絵本の主人公かもしれません。今回は、子どもたちに愛されているうさこちゃんと、うさこちゃんの誕生した国オランダのおはなしも一緒にご紹介します。
うさこちゃんとオランダのおはなし
最終更新日 2017年05月25日
うさこちゃん
ディック・ブルーナは、1927(昭和2)年に誕生しています。干支で言うと、なんと「うさぎ年」です!
ディック・ブルーナ/ぶんえ いしいももこ/やく 福音館書店
ブルーナが、幼い自分の息子が眠りにつくときに語ってあげたお話をもとに作られた絵本が、『ちいさなうさこちゃん』です。このようにして、うさこちゃんシリーズの原点であるこの作品は誕生しました。1955(昭和30)年のことです。
うさこちゃんメモ その1
うさこちゃんのお口は、バッテンで描かれていますが、これは、ブルーナの子どもの頃の記憶にあるうさぎの顔が、そのように見えたからなんだそうです。うさこちゃんの両親や大人を描くときには、バッテンにもう一本線を加えます。それは、年齢をあらわす「シワ」なんですって。
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
うさこちゃんは、くまさんをだっこしてベッドに入ります。ふわふわしていて、気持ちがいいのです。でも、朝、目が覚めたら、くまさんがいなくなっていました。おとうさんに聞いても、おじいちゃんとおばあちゃんに尋ねても「見なかったねえ」と言います。おばさんにも聞きましたが、やはり知りませんでした。
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
うさこちゃんのお母さんが、赤ちゃんを産みました。お母さんに寄り添って、すやすや寝ている赤ちゃん。うさこちゃんは、その小さい赤ちゃんを、ほんのしばらくの間、だっこさせてもらいました。
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
先生がダンスを教えてくれました。うさこちゃんは、ダンスはとても面白いと思いました。みんなに踊ってみせてあげると、おとうさんもおかあさんも、おじいちゃんもおばあちゃんも一緒に踊りました。
うさこちゃんメモ その2
うさこちゃんシリーズの絵本は、赤、青、黄、緑、茶、灰色のブルーナカラーと呼ばれる6色で描かれています。登場人物が嬉しい気持ちの時には、背景に赤や黄色が使われたり、反対に、不安や寂しい気持ちのときには、青で表現されたりします。
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
うさこちゃんに、お友達からお手紙がとどきました。「おとまりにきませんか?」というお誘いです。お手紙を読んでいる時の、嬉しそうなうさこちゃんの背景は赤です。そして、1人でバスに乗ってお友達のお家に向かっている時の、ちょっぴり不安そうなうさこちゃんの背景は青。お友達と再会すると2人の背景色は、また赤に。
ディック・ブルーナ/ぶんえ いしいももこ/やく 福音館書店
今日は、うさこちゃんの誕生日です。お昼過ぎにはお友達が、そして夜には、おじいさんとおばあさんがプレゼントを持ってやってきました。この作品には、背景に赤が多く用いられています。
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
うさこちゃんメモ その3
うさこちゃんは、最初に耳、次に顔と口、そして最後に目が描かれます。ブルーナは言っています。「わたしの線は、いつもすこし震えています。まるで心臓の鼓動のように。震える線は私の個性なのです」と。
ディック・ブルーナ/ぶんえ いしいももこ/やく 福音館書店
帽子をかぶったうさこちゃんの耳も、涙を流すうさこちゃんの目も、一気に線を引くのではなく、点をひとつひとつ重ねるように、丁寧に描き込まれています。まるで、ブルーナの息遣いが伝わってくるようです。
ディック・ブルーナ/ぶんえ いしいももこ/やく 福音館書店
ディック・ブルーナ/ぶんえ まつおかきょうこ/やく 福音館書店
オランダのおはなし
絵本
マックス・ベルジュイス/文と絵 清水奈緒子/訳 セーラー出版
マックス・ベルジュイス/文と絵 清水奈緒子/訳 セーラー出版
マックス・ベルジュイス/文と絵 清水奈緒子/訳 セーラー出版
マックス・ベルジュイス/文と絵 清水奈緒子/訳 セーラー出版
マックス・ベルジュイス/文と絵 清水奈緒子/訳 セーラー出版
リンデルト・クロムハウト/さく アンネマリー・ファン・ハーリンゲン/え 野坂悦子/やく PHP研究所
フロランス・デュカトー/文 シャンタル・ペタン/絵 野坂/悦子/訳 西村書店
物語
アニー・M.G.シュミット/作 フィープ・ヴェステンドルプ/絵 西村由美/訳 岩波書店
イップはオランダに住んでいる男の子。ある日、庭を歩いていると、生垣の向こうに何かが見えました。それは、越してきたばかりのお隣に住む、青い目をしたヤネケという名の女の子でした。それからふたりは、毎日、楽しいことを思いついて仲良く遊びます。『イップとヤネケ シンタクラースがやってくる!』もあります。
トンケ・ドラフト/作 西村由美/訳 岩波書店
ふたごの兄弟ラウレンゾーとジャコモは、見た目はそっくりですが、性格はまったく似ていません。ある時、2人の若者は広い世界を知るために旅に出ます。そして兄は、貴金属細工師の親方のところに弟子入りしますが、冒険に満ちた生き方を求める弟は、ひょんなことから泥棒の親方のところで修業をすることに・・・。うりふたつであることを利用して、ふたごの冒険がはじまります。
トンケ・ドラフト/作 西村由美/訳 岩波書店
16歳の少年ティウリは、騎士になるための最後の試練の夜に、見知らぬ男から重要な手紙を託されます。執念深いスパイや謎の騎士たちに命をねらわれながらも、山の少年ピアックに助けられ、大山脈のかなたの隣国へ苦難に満ちた旅を続けるのでした。
アネミー・ヘイマンス/文絵 マルフリート・ヘイマンス/文絵 野坂悦子/訳 岩波書店