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2012年度展示情報一覧
これからの社会保障制度と財政 -先送りできなくなった日本-

これからの社会保障制度と財政 -先送りできなくなった日本-

最終更新日 2012年11月08日

展示期間 : 09月から10月

展示場所 : 本館一般展示

展示ポスター
 現在の日本は、高齢者率の上昇と少子化の進展により、世界に例のない速度で超高齢化社会に突入しています。
この背景には子どもを生み育てにくい社会があるといわれていますが、それは子育て支援が弱いだけでなく、医療や介護保険、年金、生活保護などの社会保障制度に対する不信感があるからかもしれません。

2012年8月に消費増税法が成立しましたが、私たちも、安心して生きていける社会制度を考えていく必要があるのではないでしょうか。
そこで、今回の展示では、危機に瀕している財政問題、所得再配分機能としての税制度、高齢化社会に対応した社会保障制度について考えるための資料を集めてみました。

展示関連情報

日本の財政

『経済財政白書 平成23年度版』

内閣府/編集 佐伯印刷 2011年
日本政府の財政と社会保障の現状認識が分かります。長期経済統計のデータもあります。

『財政赤字の正しい考え方, 政府の借金はなぜ問題なのか』

井堀利宏/著 東洋経済新報社 2000年
 財政赤字に良し悪しがあり、累積的に財政赤字が拡大して債務不履行の危険性から国債価格が低下し、利払い償還に支障が生じてしまうのが、悪い財政赤字であるとしています。
財政再建は不可欠ですが、自然増収だけでは今の財政赤字は解消されないため、増税は必要と述べています。また、世界の国々の財政赤字からの克服例と、財政赤字の経済学の文献案内があります。

『財政, 現代経済学入門』

井堀利宏/著 岩波書店 2008年
 財政学を学ぶ基本書の1冊。日本の財政を念頭に置きつつ理論分析での財政学の議論を展開しています。第3版では、財政運営の考え方や、課税の理論、所得再配分政策などの基本的な事項だけでなく、税制改革の理論面からの説明を追加しています。

『図解ソブリンリスク早わかり, 国家財政破綻で、あなたの資産はどうなるか?』

中空麻奈/著 中経出版 2012年
 ソブリンリスクとは、国債を返済できなくなるギリシャ債務危機のような事態になる可能性のこと。
日本でソブリンリスクを生じさせない対応策として、年金の解散、子ども手当と高校無償化の廃止、消費税25%、公的サービスの有料化をあげています。

『財政崩壊を食い止める, 債務管理型国家の構想』

神野直彦/著 金子勝/著 岩波書店 2000年
 経済成長率2%を継続させて税収を毎年3兆円増加しても、600兆円を超える財政赤字を本当に返済できるのか?  行革や経済成長による財政再建プランはもう不可能として、債務管理型国家を提案しています。

社会保障政策

『公共政策』

野口悠紀雄/著 岩波書店 1984年
 公共経済学が専門の著者が、社会保障政策を中心とする所得分配政策について書いたものです。市場における所得分配の欠陥として以下の4点があり、これらは政府の何らかの措置が要請されるとしています。
1.生産要素の社会貢献度は、市場価値によって正確に評価されるとは限らない。
2.所得が結果によって支払われ、努力に対しては支払われるとは限らない。
3.事故、自然災害などの個人ではコントロールできないことで所得獲得能力が失われることがある。
4.個人の生涯の出発点は平等ではない。
また、所得再配分政策や、公的年金制度、年金と貯蓄との関係を論じています。

『最新社会保障の基本と仕組みがよーくわかる本』

駒村康平/ほか著 秀和システム 2012年
 利用者としての社会保障の知識を持つことと、有権者としての望ましい社会保障制度を選択する知識を持つことを目的とした、分かりやすい入門書です。

『社会保障の経済学』

小塩隆士/著 日本評論社 2005年
 社会保障を経済学的視点で捉えた著作です。自己責任に帰することができない経済的リスクに対して社会全体で備えることと、そのようなリスクが発生する可能性そのものを社会全体で下げることの二側面を持つ制度が社会保障制度であるとしたうえで、社会保障制度の財源や金融市場との関係、国民負担・財政収支を分析しています。
公的年金制度では賦課方式から積立方式への移行問題も論じています。最後に少子高齢化社会で社会保障制度改革を進める上での克服すべき問題を指摘しています。巻末に文献案内があります。

『「分かち合い」の経済学』

神野直彦/著 岩波書店 2010年
 著者は「貧困は個人の怠惰が原因で、貧困者がいることで人は勤勉に働こうとするのだ」という発想が、格差や貧困の存在を肯定する背後にはあると批判。また、日本型福祉国家の内実は、家族・共同体に生活保障機能を依存しているが、女性の社会進出が進み、家庭内での生活保障機能の提供が困難になっていくことから、分かち合いを政治システムに組み込むことが必要と主張しています。

税制度・消費税

『日本の税をどう見直すか』

土居丈朗/編 日本経済新聞出版社 2010年
 先送りにされ続けた税制改革に対する専門家たちが税制抜本改革に向けた政策提言です。
財政状況を整理し、歳出削減とともに、税の適正な再配分と消費増税、年金課税方式の見直し、マイナンバー制度の導入、少子高齢化社会の若者世代への制度的措置など、あるべき税制改革の全体像を示しています。

『日本経済を救う税金の話をはじめよう』

大武健一郎/著 かんき出版 2010年
 財政赤字解消の財源確保こそが日本を救うと財務省出身の著者が、所得税、法人税、消費税、相続税に対して求められる税制改革をあげています。消費税は景気に左右されにくく高齢化社会に適していること、日本の租税負担率は先進国の中では低いことなど税制度の特徴も説明しています。

『消費税のカラクリ』

斎藤貴男/著 講談社 2010年
 消費税とはいったいどんな税なのか? 
消費税の仕組みを解説し、消費税増税の悪影響だけでなく、税制度全体を見直したうえで、消費税は社会保障の財源にふさわしくないと論証しています。

マイナンバー(社会保障・税番号制度)

『マイナンバー 社会保障・税番号制度—課題と展望』

森信茂樹/著 金融財政事情研究会 2012年
 社会保障と税の一体改革とともに進められているマイナンバー制度について、概要や経緯、課題、諸外国事例を解説しています。番号制度は不可欠という立場から有効な活用を勧め、懸念されるプライバシー問題については逆に個人情報保護策を確立させる機会であると前向きです。

『マイナンバーは監視の番号, 徹底批判まやかしの共通番号制度』

やぶれっ!住基ネット市民行動/著 緑風出版 2012年
 基礎年金番号など現在運用されている限定番号と異なり、全ての国民に振られる共通番号制度の運用と制度自体の問題点をあげています。障害や生活保護、疾病、介護状態などのプライバシー情報が、行政機関や関係する民間機関の間で情報共有されることにどのような危険性があるのでしょうか。

関連web情報

日本の財政を考える(財務省)別ウインドウで表示する

「財政データ一覧から調べる」には、国民生活と財政の関係、国の借金の現状、債務残高の国際比較、少子高齢化と財政の関係、財政運営戦略などを分かりやすく説明しています。

戦後社会保障制度史(厚生労働省)別ウインドウで表示する

 社会保障制度の変遷と、直面する課題として人口の推移と社会保障給付費推移データなどがあります。

社会保障・税一体改革ページ(首相官邸)別ウインドウで表示する

 総理の取り組みが分かります。

社会保障と税の一体改革(内閣官房 社会保障改革担当室)別ウインドウで表示する

 政府広報オンラインのリンクや、国会提出法案等、閣議決定・閣議報告があります。

社会保障と税の一体改革(財務省)別ウインドウで表示する

 社会保障・税一体改革の概要や、日本の財政関係資料、税制について考えてみようなどの資料があります。

社会保障改革(厚生労働省)別ウインドウで表示する

 改革の必要性や、社会保障を現在の3経費から子育てを含む4経費にすること、具体的方策についての資料があります。

マイナンバー(社会保障・税番号制度)(内閣官房)別ウインドウで表示する

 政府・与党社会保障改革本部の社会保障・税番号大綱、基本方針のほか、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会の議事録などがあります。