資料名小宮豊隆書簡 鈴木三重吉宛 明治43年8月27日
著者名小宮豊隆
出版者
作成年1910(明治43)年8月27日

書き下し文

封筒表

沼津客舎ヨリ 二十七日 豊

封筒裏

千葉県成田町在押畑  鈴木三重吉様

本文

これから修善寺へ行く途である。「小鳥の巣」を久しぶりで汽車の中でよんで面白かった。誰辻(?)占がわるいので、もう先生にハ会へないのぢゃなかろうかと心配したけれども、新聞を見るとさうでもない。大に安心する。

解題

1910(明治43)年『門』を書き上げた夏目漱石は、転地療養のため8月6日に伊豆修善寺温泉に赴いた。しかしその翌日あたりからまた体調が悪化し、10、11日には生死の境をさまよう容体となり、その後いったんは小康を得たが、17日、19日に吐血、さらに24日夜には多量の吐血のために人事不省に陥った。危篤の電報を受けて親族、知人、門下生たちは修善寺に相次いで駆けつけた。

遠い北九州の生家に帰郷中であった小宮豊隆は、ようやく沼津に着いて小休しながら明け方この葉書をしたためたらしい。三重吉は当時、押畑岩ケ作の林又左衛門の借家に住まいしていたが、急報に接してすでに26日の昼頃には修善寺に到着していた。さいわい漱石の病状は持ち直し、29日頃から危篤を脱し徐々に回復に向かった。三重吉は修善寺の旅館に逗留中、終りに近い『小鳥の巣』の十数回分を書いたという。

(山本佗介 事務局にて加筆)

NSIN(書誌ID)DL20131000170
種別書簡
細目葉書
ページ数1枚
大きさ(縦×横)14.0×9.0cm
資料群名鈴木珊吉氏寄贈の鈴木三重吉資料
目録番号23
撮影年月日2012/09/12
掲載枚数 2 枚
備考
所蔵成田市立図書館
分類 816.6
件名鈴木三重吉
小宮豊隆
件名(成田)成田市-鈴木三重吉
キーワード(成田)
地域コード9N
郷土分類866