資料名 | 掛け軸 |
著者名 | 鈴木三重吉 |
出版者 | |
作成年 | 不明 |
書き下し文
灯を消せば 枕に来しや 灯取虫 三重吉
解題
『鈴木三重吉全集』 岩波書店 1938年 月報第三号(全集第4巻付録 1938(昭和13)年10月)に「前の月報で三重吉の俳句に触れたところ、その後御通知を得たり、捜し出したりしたものが少しある」として、この句を含む俳句六句と短歌一首が掲げられている。2ヶ月後に刊行された同全集第5巻 1938(昭和13)年12月には、「消息」と分類された文章群中に「妹の許へ」という書簡体の短文があり、その文中にこの句が記されている。岩波書店編集部は、月報第2号の発行1938(昭和13)年7月以後、第5巻の発行までの間に、この句の存在を知ったのだろうか。
「妹の許へ」は確かに、三重吉の許を離れた「妹」に向けての「消息」と読める。その短文中に「小説はまだ脱稿せぬ」とあることから『小鳥の巣』連載中の成田押畑在住期のものだと考えるならば、「妹」とは1909(明治42)年7月あたりから同居していた従妹・久子のことではないかと想像される。この俳句は、三重吉にとってはその時代を懐かしく、かつほろ苦く思い出させるものであったのだろう。火取虫とは火取蛾のこと。この掛け軸がいつ、どのような折に書かれたのかは未詳である。
なお、高浜虚子の『五百句』に、「灯ともせば 早そことべり 灯取虫」(1918(大正2)年7月)という句がある。
(星野光徳)
NSIN(書誌ID) | DL20131000100 |
種別 | 掛け軸 |
細目 | 1枚物 |
ページ数 | 1幅 |
大きさ(縦×横) | 95.0×17.2cm |
資料群名 | 鈴木珊吉氏寄贈の鈴木三重吉資料 |
目録番号 | 10 |
撮影年月日 | 2012/09/12 |
掲載枚数 | 1 枚 |
備考 | 軸装 |
所蔵 | 成田市立図書館 |
分類 | 911.3 |
件名 | 鈴木三重吉 |
件名(成田) | 成田市-鈴木三重吉 |
キーワード(成田) | |
地域コード | 9N |
郷土分類 | 913 |