資料名三重吉の俳句
著者名鈴木三重吉
出版者
作成年不明

書き下し文

文言  夏目先生に文章の添削をして頂いたこと 只二言、その一、漱石庵即事

俳句  猫の墓 手向けし水の(も) 氷り希り  三重吉

解題

『吾輩は猫である』のモデルとなった黒猫が死んだのは1908(明治41)年9月13日。千駄木、西方町、早稲田と夏目漱石一家とともに転居しつつ4年間ほど飼われた猫は、物置でひっそりと死に、漱石は出入りの俥屋に頼んで庭に墓を作り、墓標の裏に「此の下に稲妻起る宵あらん」という句を書いた(『永日小品・猫の墓』)。鈴木三重吉は漱石の二度の引越しにおいてこの猫の運搬係を買って出て、二度とも小便をかけられたというから、やや恨みに思っていたかも知れない。その後、猫の命日には弟子たちが法事と称して集まったらしい。しかし、この句は9月のものではない。

漱石の岡田耕三宛て書簡1912(大正元)年9月6日には「昨夜三重吉来猫の追悼会を開く事を主張して帰る」とあるが、1912(大正元)年9月13日の集まりには三重吉は参加していない。その後の正月の集まりにでも詠んだものであろうか。三重吉が「水も氷りけり」と詠んだ句を、漱石が「水の氷りけり」と添削したという。添削箇所をリアルに残したものであることから考えて、漱石宅に集まったその日のうちに書かれたと推測される。         

(星野光徳)

NSIN(書誌ID)DL20131000120
種別色紙
細目
ページ数1枚
大きさ(縦×横)21.2×18.2cm
資料群名鈴木珊吉氏寄贈の鈴木三重吉資料
目録番号12
撮影年月日2012/09/12
掲載枚数 1 枚
備考
所蔵成田市立図書館
分類911
件名鈴木三重吉
件名(成田)成田市-鈴木三重吉
キーワード(成田)
地域コード9N
郷土分類910