講師 加藤 定彦 氏(講師 立教大学教授)
開催日:2007(平成19)年11月10日(土)
今年度の市史講座は,立教大学教授の加藤定彦先生を講師に迎え,講演をしていただきました。先生は,県内の俳諧事情に詳しく,『下総町史通史近現代編』では,「香取郡の俳壇状況」「下総町の俳書と作者」を執筆されています。
講演は,先生と資料との出会いの話に始まりました。20年ほど前,俳諧資料を収集していたところ,古書店を通して,現匝瑳市蕪里の俳人玉斧の「俳諧撰集」と出会いました。最初に,電話帳から玉斧の子孫を確かめ,手紙を送り訪問して,さらに資料が広がっていきました。このことによって,千葉県の資料との縁が深まったのです。続いて話は,北総地域の俳人や俳書,俳人たちの交流に及び,更に市内の句碑について話されました。先の玉斧は,天明8年(1788)に成田山境内に松尾芭蕉句碑を建てています。俳諧を通して人々が交流し,文化が充実していった様子を理解することで,江戸時代を身近に感じることができました。
当日は,雨にもかかわらず,43名の参加をいただきました。「大変参考になった」「今まで無意識に通り過ぎていた歌碑・句碑を,少し立ち止まって眺めてみようと思った」と感想を寄せていただきました。また,資料をご持参された方もあり,一部を拝見させていただきました。今回の講演録は,平成20年度発行の『成田市史研究』で発表の予定です。
地域の俳諧事情に関連した資料は,『大栄町史史料編別巻』に「木啄庵の俳諧」が,『成田市史中世近世編』に「俳諧と狂歌」があり,時代はかわりますが,『成田市史研究19号』には「俳諧明倫講社と成田の俳人-三森幹雄をめぐる人々-」があり,参考資料室の郷土資料コーナーでご覧いただけます。