講師 本多 浩氏 (徳島大学名誉教授 日本近代文学常務理事)
開催日:2007(平成19)年1月21日(日)
今年度の市史講座は,徳島大学名誉教授の本多浩先生を講師に迎えし,お話しをしていただきました。
水野葉舟は,大正13年に駒井野に移り住んだ成田市ゆかりの文人です。明治末期から大正初期にかけての葉舟は,今で言うベストセラー作家でした。
葉舟は,妻が亡くなったショック等で,思うように小説が書けなくなり,転機を求めて成田に来たのではないかということです。葉舟は,20代の頃に,東京・麻布にあるフランス料理店で,国木田独歩と出会い,紀行文を依頼されました。そのために,3度ほど印旛沼に訪れていたことが成田に移り住むきっかけとなったのでしょう。また,このフランス料理店では,生涯の友となる高村光太郎とも出会っています。その証しとして,光太郎の言葉に「世の中に大事な人が二人いて,一人は妻,もう一人は葉舟である」とあるのです。
今回の講座では,成田に来る以前の葉舟についてお話しいただきましたが,成田に来てからの葉舟についても,またお話していただけることを期待しています。