「近世房総の文化について」
−成田参詣記をめぐって−

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最終更新日2006/06/23

講師 酒井 右ニ氏 (県立佐原高等学校教諭)

 図書館での市史講座も今回で20回を数え,県立佐原高等学校教諭の酒井右二先生をお迎えし,「成田参詣記」の著者を中心としてお話をいただきました。
 当日は,当館の原典で丁寧に紹介をいただきました。
 安政5年(1858)に刊行され,内容は江戸小松川から成田までの各地の名所,旧跡などを図版入りで記した名所ガイドともいえるものです。その図版が非常にわかりやすく,各宿場の町並みや牧の様子など,展示や本によく使われています。また,大野政治先生による翻刻本が,昭和48年(1973)に出されています。
 これまで作者については,成田山で重要な役を務めるの寺侍であった中路定得,定俊の親子とされていました。しかし,成田山仏教研究所が現代語訳を進められたところ,この著者に疑問を持ち,編集に当たられた湯浅吉美,若杉哲男の両氏と太田次男先生は,「下総旧事考」を表した佐原の清宮秀堅ではないかと考えられました。
 そこで,酒井先生が清宮家文書を長年にわたって調査を続けているところから,ご相談を受けられたとのこと。
 1万点を越す大量の文書群である清宮家文書の中から,関係史料も確認することができ,実際の著者が清宮秀堅であることが分かった上に,地域や人物の関わりなども知ることができたということです。
 このことは,成田山仏教研究所の『現代語訳成田参詣記』のあとがき,『千葉県の歴史 資料編 近世6(下総2)』の「『成田名所図絵』の著者は誰か」に紹介されています。
 このほか,近世の房総の文化全般に触れていただき,時間いっぱいまで質問もいただいて,盛況なうちに終了しました。


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