遠い日,修学旅行で確かにその仏像を見ているはずだけれど,特別な印象は残っていない。しかし歳を重ねてふたたびその前に立ったとき思わず目頭が熱くなってきた,そんな経験はありませんか。
旅をするのに良い季節になりました。古都の名刹に有名仏を訪ねるも良し,道ばたの野仏に手を合わせるも良し。 忙しい時代だからこそ,自分を見つめなおす時間を作りたいものです。
今回は仏像の本の特集です。すべて図書館で所蔵しているものですので,この機会にぜひ手に取っていただければと思います。
| 仏像巡礼 | 日本の名仏 | 仏像を知る | 野仏・石仏 | 仏像を彫る |
◇仏像に魅せられた作家たちの珠玉の仏像巡礼記で,みほとけの世界に触れてみてはいかが。- 『百寺巡礼 第一巻 奈良』 五木寛之/著 講談社 2003
- 私たちのこころのふるさとはどこにあるのか,それを探しに旅に出る。2年間で日本列島の北から南まで百の寺を訪の第一巻が奈良。仏像の紀行文ではないが室生寺金堂をはじめ数々の仏像と五木の出会いがつづられている。第二巻は北陸,三巻は京都1など全10巻。各寺のみどころや仏像をカラー写真で紹介している,ガイド版全10巻もある。
- 『仏像 (山溪カラー名鑑)』 小川光三/写真 山と溪谷社 2006
- 仏像写真の第一人者小川光三が写した仏像写真の集大成である。仏像の持つ造形的な魅力を最大限に引き出した,珠玉の作品が並ぶ。奈良の仏像を中心に寺別・堂別に詳細に解説。数多くの仏像の素晴らしさを体感することができる本。
- 『感じる・調べる・もっと近づく仏像の本』 仏像ガール/著 山と溪谷社 2008
- 三度の飯より仏像が好きという,若き仏像ナビゲーター“仏像ガール”による入門書。難しいことは抜きにまず仏像をじっくり感じてみようという。イラストや写真を多く使って仏像の世界を分かりやすく案内する。仏像の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたいという著者の心意気が伝わる本。
- 『野仏の見方 (歴史がわかる,腑に落ちる)』 外山晴彦/著 小学館 2003
- 路傍に,池のほとりに,野辺に,佇む野仏たちはなぜか私たちを和ませ,心を解放してくれる。広い意味で野仏を取り上げており,道ばたのお地蔵様から道祖神,庚申塔や月待塔と呼ばれるものまで幅広く解説する。この季節ぶらりと出かける里道の小さな旅に携えていくのに好適な本。
- 『仏のこころを彫る (NHK趣味悠々)』 松本明慶/著 日本放送出版協会 2007
- NHK教育テレビの番組「趣味悠々」のテキスト。仏師松本明慶講師による仏像彫刻講座。彫刻刀に慣れることから始めて,レリーフを彫る,仏頭を彫る,そしてわらべ地蔵を彫るまでを分かりやすく解説。制作過程が美しいカラー写真で詳細に紹介されている。実際に仏像を彫らなくても,仏像とは何かということや仏師の息づかいが伝わる本